作曲が出来ることで歌唱の能力にも差が生まれることがあります。でも難しい知識や楽器演奏にかなりの熟練度がないと出来ない印象があるのが作曲。手軽で時間のかからない作曲入門を紹介します。
合わせて読みたい
歌い手が苦戦するテク 第1位は?
夏本番が近付くこの時期は、僕自身がボーカル講師としてスタートした頃を毎年思い出す時期でもあります。
あれからもう十余年、もう何百人の生徒さんと出会わせて頂いたのだろうかとしみじみする季節です。
そんな年月の中でレッスン生の皆さんがどのような事が得意でどのような事が苦手かを知る機会は毎日のようにあります。
得意は人によって違うことが多いのですが「歌い手が苦戦する、もしくは諦める人が多いボーカルテクニックの第1位」は何かわかりますでしょうか?
それは 『フェイク』です。
100人いたら99人が挑戦して出来なかった印象です。
そもそも「フェイク」って何だ?!と言う話なのですが…
- 曲中歌詞とメロディの付いた箇所で元々のメロディやリズムとは違う崩したフレージングをする事
- 間奏やフレーズの間でアドリブ的に歌うメロディの事
大まかに言いますとそんな感じです。
例えば、R&Bなどに多いですが、歌い出しや、歌の最後、歌の間奏などで音を曲げて「O-oh」「yeah」「huh~」「Lalala」などと元々譜面にない歌詞や、リズムを「即興」で入れます。
文面で見ただけでも難しそうに感じますね。
例えば、以下のような歌唱があります。
「フェイク」が特徴的な楽曲3選
「Stevie Wonder – Higher Ground」
元々のメロディを崩してライブ感やこの瞬間のノリやテンションを表現しているかのような役割となっていると思います。
「ASKA – 月が近づけば少しはましだろう」
僕にとってフェイクといえばこの人、そしてこの曲のエンディング部分が圧巻です。
「椎名林檎 – 丸の内サディスティック」
こちらもエンディング部分。
まるでエレキギターなどリード楽器かのようなフレーズを声で奏でています。
この様に、フェイクは歌唱において無くてはならないというものではないのですが、あれば「個性」にも印象にも大きな違いが現れるものだと思います。
「作曲ができること」のメリット
では、具体的にどんな能力があればフェイクを使いこなせるのかとなるのですが、少なからず必要になるのが「作曲能力」だと思います。
しかも「アドリブ的に」「瞬時に」です。
こんな風に書かれると「もう無理」と思われた人は多いのではないでしょうか。
あまりにも遠い道のりで、凄く高い能力が必要に思いますよね。
確かに作曲という世界は、とてつもなく難しく特殊な才能がいる世界です。
でも「フェイクのために」くらいに考えるとそんなに難しくないかもしれません。
今回は「フェイクが出来るようになるために軽く作曲をかじってみるか〜そんなノリで作曲の世界に入ってみてはいかがでしょう?」というのがのテーマです。
また作曲には、フェイクなどの歌唱テクニックのためだけでなく、ライブハウスへの出演やネット配信、SNSなどオリジナルコンテンツを生み出せる可能性があります。
つまり、それまで思いも出来なかった「目標」や「未来」を生んでくれる可能性があります。
また、オリジナル曲において歌の「手本」は作り出した「あなた自身」になります。
その楽曲のどこをどのように歌おうかなどの「舵取り」は、全て「あなた自身」が行います。
そうなると、おそらく他人の曲を歌うより「より深く」考えてフレージング(小節ごとの表現)していくでしょう。
それが出来るようになると、他人の曲でも繊細なプランを持って歌うクセが付くようになると思います。
つまり「作曲ができること」は、歌い手としても「表現が豊かになる(=歌が上手くなる)」と思います。
どこまでやれれば「作曲」なの?
上記でわかるように、作曲とは遠い道のりの世界です。
でも、それは作曲家を目指す人の話だと分けてみてください。
作曲自体は誰でも出来るんです。
では「どこまでの事が出来れば良いのか?」です。
僕が思う作曲とは…
「メロディ+楽器1つの伴奏」
です。
メロディのみでしたら、皆さん子供の頃から出来ている可能性があります。
砂遊びしながらふふふ〜とかラララ〜って歌ったことないですかね。(鼻歌)
それで十分です。
「おはよ〜♪」ってメロディっぽく言った事とか色々あると思います。
実は、それでもう十分な「作曲」なんですよね。
ですが、「伴奏」がないと「曲として認めてもらえない」「曲として成立していない」というのが「誰にでも出来ることじゃない特殊なこと」に感じるところだと僕は思っています。
ですので、「伴奏」が出来ればほとんどの方が作曲家なんです。
その「伴奏」が道のり長く感じますよね。
でも「すごく上手い伴奏」と「作曲のために必要な伴奏」は別物だと思ってください。
最短で作曲する方法 その1
楽器はギターでもピアノでも何でも良いです。
コード(和音)を奏でられる楽器を始めてください。
前述したように上手くなる必要はありません。
それを使って以下の7種類の「コード」を覚えてください。
「C」 「Dm」 「Em」 「F」 「G」 「Am」 「Bm7-5」
なんなら「C」 「F」 「G」 「Am」 だけでも良いです。
そして、最大のコツは「そのコード達を全音符で弾く」ということです↓↓↓
「1小節に1回ポーンと弾くだけ」です。
もう、それ以上の練習は要らないです。
上手い伴奏を目指したりライブで歌う伴奏となるとこれではいけないのですが、これが作曲に必要な程度の伴奏となります。
最短で作曲する方法 その2
さらに、もっと手軽で努力のいらない方法が「DTM」です。
「C」 「Dm」 「Em」 「F」 「G」 「Am」 「Bm7-5」といったコードが、既にデータとして作られているものがあり、そのファイルを順番を変えたりしながら画面上に置いていくだけでコード伴奏を鳴らしてくれます。
最近ではパソコンへの入力用の鍵盤を用意するだけで、全音符はもちろん8分の刻んだロックっぽいっものやバラードのようなアルペジオなど勝手にリズムを刻んでくれるものもあります↓↓↓
これでメロディ+1楽器の伴奏の目標はクリアです。
これで十分曲になりますし、何曲も作っているうちにフェイクに必要な能力も付いていくでしょう。
最後に
作曲を続けていると「どうせならライブで自作曲を発表したい」や「オリジナル曲をCDにしたい」となるかもしれません。
そんな時こそ難しい伴奏、アレンジが必要になってきます。
それは講師陣に投げて下さい(笑
勿論それも自分で出来る様になりたいと思うところまで成長していれば、その道のりも任せてください。
とりあえず今回は、歌唱テクニック面でのフェイク・・・のために必要な「作曲」の入り口という観点で書かせてもらいました。
ここをスタートとして、あなたの中の眠っていたシンガーソングライターが目を覚ますなんて事もあるかもしれません。
是非気軽に挑戦してみてください。
この記事を書いた人
大学在学中、大阪を中心として音楽活動開始。YAMAHA MUSICQUESTをはじめ、数多くのコンテストに合格。大阪でのインディーズCDリリースやバンド活動を経て2002年ACE OF HEARTS よりソロシンガーソングライターaoiとしてデビュー。