【ボイトレ】「ブレス」を制すれば「歌唱」を制す-コツと練習方法

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「音程」「リズム」「抑揚」など、考えなければならない事が多いのが「歌」です。どんな技術でも全ての源は「息(ブレス)の安定」が必須となります。疎かになりがちなブレスについて掘り下げてみましょう。

ブレス・吸気について

今回は「ブレス」「吸気」について書いてみようと思います。

歌に限らず「言葉」を発する上でも「運動」をする上でも「吸気」が体に及ぼす影響とは凄く大きなものだと思います。

試しに、体にある空気を吐き切った上で息を吸わず声を出してみて下さい。

「良い声」が出せないどころか「長い声」も「高い声」も「ハリのある声」も出せないですよね。

「苦しい…」の感覚しか無いと思います。

こんなこと試すまでもなく当然のことだと思われる人が多いと思います。

そんな当然のことなのに、歌唱の中では「息」や「吸気の技術」を二の次にしている人が多いように思えます。

気持ちが「音程」「リズム」「抑揚」など「音楽的な要素」に行きがちで「エネルギーの源(=ブレス)」への意識を疎かにしがちの人が多いことです。

その結果「音楽要素」も不安定になってしまっているということです。

歌う上で知っておいてほしい「ブレス」の知識を紹介します。

ブレスの何を考えるか

歌唱での「ブレス」と聞くと「腹式呼吸」や「肺活量」という言葉を思い浮かべます。

「プロの歌手は腹式呼吸を完璧に操れ、肺活量も化物みたいな人が多い」そんな印象がありますよね。

中にはそんな人もいるでしょうが、そうでない人も沢山います。

「肺活量は並程度です」って人も多いです。

では、ブレスの何を考え気にしたら良いのか、また何をトレーニングしたら良いのかですね。

個人的に、以下にあげる各項目がプロのシンガーは上手いのではないかと思っています。

その1:ブレスのプランニング 

第一に「ブレスをする箇所のプランニング」を挙げたいです。

例えば、余裕のある音域での地声と比べるとファルセットでは息を多く使います。

また息の残量が少ない状態では、お腹にかけられる力が弱くなり、高音域への発声のアプローチも弱まってしまいます。

「発声力」が弱いと、狙った音程までピッチが届かなかったり、リズム感がふらつき狂ってしまったり、抑揚豊かな波のある発声を生み出すことも難しくなってしまいます。

ですので「曲の中で」とか「1フレーズの中で、特に腹圧のいる音程がどこに出てくるか、どこでファルセットが出てくるか」などの情報はあらかじめチェックしておきたいです。

その箇所の直前でブレスができ、エネルギーが満タンに近い状態で発声につなげられるのが理想です。

勿論、メロディの繋がりや譜割り・リズムを考えるとなかなかに直前というのは難しいことが多いです。

不自然でない、なるべくその様なポイントに近いブレス箇所を探すということが大事になってきます。

発声練習では出せた高音が、曲中では同じ音程なのに出せないとか、苦しく感じるという経験があると思います。

それは「吸気後すぐ(息残量満タン時)に声を出すことができる」発声練習中と「ある程度の息やエネルギーを消費している状態でその音を迎える」歌唱中という違いがあるからだと思います。

「間があるからブレスをする」ではなくて「理由のある場所に間を作ってブレスを入れる」ことに慣れることを意識してみてください。

その2:ブレスを入れる間を作る

「ブレスを入れる間を作る」と言っても難しい話ですよね。

ブレスの位置を意識していない場合「文節の切れ目でブレスをする」という生徒さんが多いです。

例えば「今日は晴れです」というフレーズがあった場合・・・

「(V)今日は晴れです(V)」
(V)でブレス

・・・と考える人がほとんどです。

「(V)今日は(V)晴れです」

・・・や、ましてや・・・

「(V)今日はは(V)れです」

・・・なんて、気持ち悪く感じて当然ですよね。

ですが、その気持ち悪さはあくまでも日本語としてなのです。

英語の歌詞だった場合には、文節ベースで考えるとブレス位置が変わってしまう可能性があります。

なので音符で考えたブレス位置の探し方に慣れる」のが良いと思います。

その入り口としてフレーズの中に長い音符を探せる癖」を付けてください。

「長い音符を少しだけ短く処理してその分ブレスの隙間を作る」という考え方です。

やがて、今までは無理だと思っていた箇所にもブレスタイミングを見つける事が出来ると思います。

その3:ブレスの長さ

できれば「ブレスの長さ」にもこだわりを持って欲しいです。

前述した「ブレスの隙間探し」も、「長いブレス」ばかりではブレスを入れる「隙間」がなかなか見つかりません。

ブレスの長さも「二分音符」「四分音符」「八分音符」と使い分けるようにします。

「吸気量は少なめだけど短い隙で入れ込みやすく吸気回数を稼げる短さ」「吸気量は多めだけど隙も長い箇所が必要」「吸気量はたっぷり」など、その時々に応じた長さやタイミングを使いこなせるようしたいです。

その4:息の残量管理

いくら吸気の回数やタイミングが増やせたとしても、取り込んだ空気を無駄に使ってしまっては意味がありません。

ですので「腹圧を調整しながら、必要なタイミングまで息残量を残しておく」ように意識してみてください。

さらに、ロングトーンの練習に自身の地声最高音あたりの音程へ持ち上げて終わる」パターンも取り入れてみるのも有効だと思います。

最後に

ブレス位置を増やすことで、フレーズがブツブツと途切れた感じになるのが嫌だという生徒さんも多いです。

気持ちは凄くわかります。

でも「ふらついた声」や「裏返ってしまう声」を聞かせるのも、それ以上に嫌なはずです。

そして、ブレスを聞き手にあまり気付かせないコツも幾つかあります。

その技術については短く語れるものでは無いので、知りたい人はレッスン内で質問してみてください。

是非ベリーメリーミュージックスクールへお越し下さいませ。

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