レッスンの中で、声が良く、表現力や発声も上手い。しかし、音程が不安定なだけで、結果的にあまり上手に聞こえない——そんなケースをよく見かけます。
これまでボーカルトレーナーとして数多くの生徒さんを指導してきましたが、音程コントロールが苦手な人の多くは、耳や聴力に問題があるわけではありません。では、どのような癖があるのでしょうか?また、本記事ではその対策として、以下を掘り下げていきます↓↓↓
✅発声の力加減を調整する
✅出音から正しいピッチを意識する
✅音程のアップダウンをイメージする
✅伴奏と自分の声のバランスを意識する
当てはまるものがないか確認し、対策を行ってみてください。
音程が不安定な人によくある癖
音程が不安定な人には、共通して見られるいくつかの癖があります。これらの癖を持っていると、正しい音程で歌うことが難しくなり、結果的に不安定なピッチになってしまいます。
1. 音程を感覚で取ろうとしている
音程を「なんとなく」感覚で取る癖があると、正確なピッチが安定しません。耳で聴いていても、発声時に適切な声帯のコントロールができていなければ、ズレが生じることが多くなります。
2. しゃくりやヴィブラートを多用しすぎる
表現としての「しゃくり」や「ヴィブラート」は有効ですが、これらを無意識に多用すると、狙った音程にすぐ到達できず、全体的に音程が不安定になります。
3. 伴奏を聴く意識が薄い
カラオケなどでは特に、自分の声に集中しすぎて伴奏の音を正しく聴けていないことがあります。すると、ピッチがずれても気づきにくくなります。
4. 発声の力加減を一定にしてしまう
音程によって必要な発声の力は変わりますが、それを意識せずに一定の力で歌うと、特に高音や低音でズレが生じやすくなります。
これらの癖を改善するために、以下の対策を実践してみましょう。
対策1. 耳で取るのではなく力加減で
「音程を取るために体のどこを意識するか?」と聞かれると、多くの人が「耳」と答えます。実際、レッスンでも生徒さんが耳に頼るような仕草をするのをよく見かけます。
しかし、それを発声の力加減に変えてみてください。
例えば「シ・レ」と続く下降のメロディがあったとします。シの高さに必要な発声の強さと、レの低さに必要な発声の強さは違うはずです。仮にシが100%の力が必要だとしたら、レは30%くらいというイメージを持って音程を測ります。
曲の中ではリズムや他の要素を考えなければならず、力加減を意識できずにシの勢いのままレにアプローチしてしまい、音程が上ずってしまうことがあります。これは、時速30kmで曲がるカーブを100kmで運転するようなもので、コントロールが効かなくなってしまうのです。
ドレミファソラシドの各音でどの程度の力加減が必要かを練習し、発声の力をコントロールする習慣をつけましょう。これにより、音程の安定だけでなく、表現力も向上します。
対策2. 出音から正しいピッチを心がける
よく見られる癖の一つに「しゃくり癖」があります。
しゃくりとは、狙いたい音程の少し下や上からピッチを動かしながら正しい音程まで辿り着く歌唱技術です。適切に使えば表現力が増しますが、音程を探るために無意識に使ってしまう人も多くいます。
特に短い音符では、しゃくっている間に次の音が来てしまい、正しいピッチまで届かずに終わってしまうことがよくあります。結果として、自分がどの音を狙っているのか分からなくなり、迷子になってしまうのです。
まずは、練習中のフレーズをすべて短い音(言葉)に分解して歌ってみてください。「きーみーがーあーよーをーはー」ではなく、「き・み・が・あ・よ・を・は」のように発音するのがポイントです。発声の出音から正しいピッチ感を捉える練習をおすすめします。
対策3. 音符が分からなくてもできる音程イメージ
「音感のために楽譜や音符を読めるようになったほうが良いですか?」とよく聞かれます。
確かに、知っているほうが良いですが、楽譜が読めても音程コントロールが苦手な人は多くいます。
譜面はあくまで地図のようなもので、歩き方が下手なら目的地にはたどり着けません。音符を読むだけでなく、フレーズのアップダウンをイメージできるように、歌詞カードに音の高低をメモする習慣をつけましょう。
対策4. 伴奏との相対的な音感を意識する
音程を正しく取るためには、何に対して正確であるべきかを理解する必要があります。
多くの人にとっては「カラオケ」の伴奏、弾き語りの人ならば自分のギターやピアノが基準になります。自分の声に集中しすぎると、伴奏とのズレに気づきにくくなります。
まずは、カラオケの中からピアノやギターの音だけを意識して聴く練習をしてみてください。さらに、レッスンの先生にコードだけの伴奏をお願いし、それに合わせて歌う練習をすることで、伴奏との調和を意識できるようになります。
まとめ
音程コントロールの不安をなくすために、次のポイントを意識しましょう。
✅発声の力加減を調整する
✅出音から正しいピッチを意識する
✅音程のアップダウンをイメージする
✅伴奏と自分の声のバランスを意識する
また、ギターやピアノの弾き語りやDTM(デスクトップミュージック)の学習も、音感向上に大いに役立ちます。
どんなスキルも、習得のための道筋があります。興味を持った方は、ぜひベリーメリーミュージックスクールのレッスンにお越しください!
この記事を書いた人

大学在学中、大阪を中心として音楽活動開始。YAMAHA MUSICQUESTをはじめ、数多くのコンテストに合格。大阪でのインディーズCDリリースやバンド活動を経て2002年ACE OF HEARTS よりソロシンガーソングライターaoiとしてデビュー。