【作詞・作曲・DTMコース】レッスン風景&制作秘話05 : 市川将一郎

【作詞・作曲・DTMコース】レッスン風景&制作秘話05 : 市川将一郎-06

ベリーメリー京都校で「作詞・作曲コース」を受講中のギターボーカリスト市川将一郎さんのレッスン風景と制作秘話です。ギターが上手くないから作曲は無理と思っている方も参考にしてみてください。

作詞・作曲コースとは

ベリーメリーの「作詞・作曲・DTMコース」は、まず「作詞・作曲」の基礎からスタートします。

生徒が作成したオリジナル曲を講師に聴いてもらい、アドバイスを受けつつ曲を磨き上げ、最終的には“オリジナル楽曲の完成”を目指します。

レッスンでは、スクールの設備を活用し、ピアノやアコースティックギターに加えて、ボーカルやハーモニーを組み合わせて楽曲をより完成度の高いものに仕上げていきます。

シンプルなミキシングでも高品質な音源が作れるよう、丁寧に仕上げていきます。

その後、ドラムやベース、シンセサイザーといったアレンジに挑戦したい方には、レッスンを通じてDTMのスキルを習得するチャンスもあります。

詳細はコース紹介ページをご確認ください↓↓

リンク:作詞・作曲・DTMコース

市川将一郎さんについて

【作詞・作曲・DTMコース】レッスン風景&制作秘話05 : 市川将一郎-04

社会人2年目の市川くんは、アコギ弾き語りでのオリジナル楽曲制作を頑張っています。

2年前にベリーメリー京都校に入会した当初は、アコギはほぼ初心者でした。

「夜中も練習したい」という思いから、最初のギターはサイレントアコギを買って、熱心に練習を繰り返し、確実にスキルアップしていきました。

その半年後には、「先生、サイレントギターはちょっとアコギの掻き鳴らし感が弱くて、、もう随分弾けるようになってきたんで、これ売って新しいアコギ買います!!」と、所有していた原付バイクとサイレントギターを売ったお金で、ハイスペックプリアンプ搭載のTakamineのアコギを早速買ってきました。

素早い行動力に私も感動しながら、アコギスキルアップレッスンと作曲指導を続けた訳ですが、結果的にこのハイスペックアコギを手に入れたことで、市川くんのモチベも音やコードへの感性も、ギタースキル上達の実感も全て、大きなプラスとなって返ってきました。

作曲でのメロディーが最も響くコードの選択や、知らない分数コードの押さえ方。

循環コードに、さりげなくまぶすとメロディーが際立って生きてくるテンションコードの挟み方など。

私が教えることを、短期間でどんどん吸収して、自分の楽曲に生かそうとする姿勢は素晴らしいものがありました。

ふさわしくないコードを気持ちと勢いだけでメロディーに当ててしまって、おかしくなっているフレーズもよくありました。

でも、彼自身が本気で考えてやってしまっている「間違い」なので、そこを指摘・改善すると、「先生!僕がやりたかったのはまさにコレです!!」と、その改善されたコードの使い方の理解も速く深かったです。

いや〜なんとも素晴らしい。

オリジナルの3曲目に当たる『願い』というこの曲を作り始めた頃から、彼のメロディーラインへのアプローチと流れが一挙に良くなってきた感じがしました。

では、その『願い』の制作秘話や苦労話などを順を追って記します。

1段階:ボイスメモでの曲の原案を確認

市川くんの、伸びやかな良い声が生きる、切ない曲調ですがまだまだ未完成。

ただ、売ってしまう前のサイレントギターの空弾きで夜中に作っている感が、切ない情緒感を醸し出していていい感じです。

ここまでのイメージをもとに、作曲レッスンでは、この後どうしたいのか、アカペラでのコードなしのメロディーパーツを本人に歌ってもらってあれこれ聞きながら、続きのメロ候補例を講師がコードをつけながら方向性とメロの流れを大まかに決めていきます。

ここが一番大事な作業です。

メロディー展開上注意すべきは以下の点です。

  1. あれもこれも、これでもかーとメロディーと符割りを詰め込みすぎない
  2. ウラ声の多用や、音程の高い方へと上昇するフレーズばかりなのは控える
  3. メロ的には音程が上がってゆくフレーズと下がるフレーズのバランスをとる
  4. 意味のない転調はしない
  5. A・B・サビそれぞれの小節数・コード進行は適切か、似すぎてないか、特にそれぞれのメロの入りの音程が理にかなっているか、同じ音程でないかチェック

まだまだたくさんありますが、大まかにはこれらのチェックが優先です。

2段階:ワンコーラスをしっかり仕上げる

前段階で講師とレッスンでいろんなメロディーの流れの候補を提示され、それを自分でもギターで弾いて歌えるレベルに高めていきます。

特にBメロは、5通り以上の案を提示していましたので、それを決定するには、当たり前ですが、Aメロとサビができていないと決まりませんので、それを優先してカタチにし、最後にBメロをどのパターンでいくか決定してもらいました。

宿題として色々試して録ってきてもらったボイスメモなので、なかなか血が通っていていい感じの気合いです。

3段階:フルコーラス完成

『願い』 作詞・作曲・歌 市川将一郎

前段階でワンコーラスできあがれば、あとは展開させるCメロ部分を作るのか、2番のサビは抜いてCメロに行くのか、最後に転調するのか、など全体の構成面を本人に事前に色々考えてきてもらって、レッスンで聞かせてもらいます。

全体構成がほぼ決まれば、細部が完成するまで、ステレオコンデンサーマイクの前で、弾き語りで1曲を通しで演奏してもらって、それをレコーディングし、聞いて検証するというレッスンが続きます。

その間に、ここにこのコードを追加で入れたり、抜いたり、ディミニッシュやオーギュメント系またはオンコードに置き換えたりなど、一番メロディーが引き立つようにブラッシュアップを重ねていきます。

特に、彼が考え抜いたサビのメロディーは秀逸だったのですが、コードの当て方があまりに普通のコードであったり間違っていたりしました。

せっかくのメロディーをより美しく感動的に響かせるコードの当て方をじっくり指導し、そのテンションコードの押さえ方やストロークの刻み方などもライブで再現できるレベルでマスターしてもらいました。

そうしてできたのが、このフルバージョンです。

最後に

【作詞・作曲・DTMコース】レッスン風景&制作秘話05 : 市川将一郎-05

市川くん独特の視点での心象風景が鮮やかに表現された良い曲になりましたね。

必死にオリジナル曲を仕上げるのは、精魂込めて絵を描き切るのと全く同じです。

あとで手直しするかもしれないけれど、まずはその時の最高のモチベーションと集中力で、今の自分の全てを洗いざらいぶつけてゆくことでしか完成しません。

「今」のスキルが多少足らなくても、のちのち何年か後に高まったスキルで技術的な手直しができたとしても、「今しか得られない感性」や「今の若さの飛沫」は数年後にはないのです。

だからこそ、今をもがいて必死に作り上げるしかないし、その瞬間が最高に美しい。

今回の市川くんの『願い』の制作過程を一緒に歩んで、彼の純粋な思いに触れてそんな思いを強くし、創作での最も大事なことを私も改めてハッと思い起こしました。

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