カラオケから得られる情報を歌唱に活かすためのヒントです。
ただ聴く、ただ歌うだけではもったいないカラオケとの一体感のある歌唱を目指してみましょう。
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カラオケを歌うために
今回は「カラオケ」を歌うために知っておきたい事を解説したいと思います。
ギター弾き語りで歌唱する場合、当たり前ではありますが歌だけでなくギターの練習にも時間を掛けないといけません。
ピアノ弾き語りでも同じくピアノの演奏の安定や上達、それに掛かる時間が必要になります。
「歌以外」の事も考えなければならないのです。
楽器弾き語りに憧れはあるけどそういう事が大変そうだから「カラオケで歌うんです」「歌に集中です」という人も多いのではないでしょうか。
でも何かの音に合わせて歌唱をするという点では楽器弾き語りもカラオケでも押さえておかなければならない大事な事は同じではないかなと思います。
ギターを弱く切なく弾いているのに声は乱暴なんて人はなかなかいないですよね。
でもカラオケではそれが起きている人が結構多いと思います。
カラオケからどの様なことを感じ歌唱に活かせるかをいくつか紹介します。
カラオケをどのくらい聴けているか
まず「カラオケを聴く」と言いましても色んな段階があると思います。
もちろん皆さん聴いてはいるんです。
レッスン内で生徒さんに「ドラムがこんな風なパターンで鳴ってますよね」とか「ベースに合わせて」とかをアドバイスしても、
一つの楽器についての聞き分けは「よくわからない」といった反応が返ってきます。
カラオケを何気なしに聴いてしまっている人が多いのだと思います。
リズムのよりどころに出来そうな楽器、音程のよりどころに出来そうな楽器をクローズアップして聴く事が出来るようになればひょっとしたら
それだけで歌唱力がアップするかも知れません。
リズムのために聴きたいカラオケ
カラオケを聴いてリズムを取ろうとした時にほとんどの皆さんは手や足を打ちながらリズムを合わせようとすると思います。
おそらく4分音符でタンタンタンタンと。
ドラマーの叩いてそうな複雑なリズムパターンをそのまま真似する人は珍しいと思います。
ドッ(1拍目)・タ(2拍目)・ドッ(2拍目ウラ)・ド(3拍目ウラ)・タ(4拍目)・ド(4拍目ウラ)
なんて事を手拍子でやりながら歌うなんて気が遠くなりますね。
ですのでもちろん手拍子や体は4分でタンタンで良いのですが、ドラムがこんな風に鳴ってるんだなとわかって刻む4分は間の取り方や正確さのクオリティは全然違うものとなってくるはずです。
まずただのカラオケとしてトラック1を聴いてみて下さい。
続いてはドラムのみのトラック2
ドラムのみのトラック2を聴いた後にもう一度全体のトラック1を聴いてみるとドラムが今までより気になって聴こえるようにはなっていないでしょうか。
個人差はあると思います。
あまり効果を感じなかった人はドラムのパターンを口で言えるくらいまで覚え込んでみてから全体バージョンを聴いてみて下さい。
抑揚のために聴きたいカラオケ
歌唱において声の強弱は感情の移り変わりを聴き手に伝えるために一番考えなければならないものです。
この点でもカラオケをしっかり聞けているなと思う人、そうで無い人では差があることをよく感じます。
その時々、そのセクションで鳴っている楽器の数やそれぞれの楽器の演奏の強さなどが聴き取れているかが一歩目で良いと思います。
盛り上がりのある箇所では皆さんその盛り上がりに合わせることは自然に出来ているのですが、逆に切なさや静けさのような伴奏になった時に呼応させる事が出来ない人が多く感じます。
出来ないというよりは気付けていないの方が正しいかもしれません。
「伴奏の弱さの割に声が乱暴ですよ〜」なんて指摘しますとハッと気付いてくれる人が多いので。
きっと音程やタイミングを気にするためだけのカラオケとなってしまっているのだろうなと思います。
目の前で「生バンド」が強弱を体で表して演奏していればきっと皆さんそれに自然に呼応出来てしまうと思います。
「生バンド」じゃなくてもまるでそれかのようにカラオケを感じられることが出来たら表現のレベルは上がると思います。
MISIAさんの「逢いたくていま」のカラオケの一部分です。
Bメロからサビに向かう盛り上がりの箇所です。
Bメロ内ではピアノとストリングスのみでリズムといえば鈴の音が少し入ってくるだけです。
サビに向かってストリングスの音域が上がっていき少しの盛り上がりを感じさせてくれます。
サビ直前ではピアノは三連符でリズムに変化を出した盛り上げを作っていますし音域も上がり何かが起きる直前の様な雰囲気も出しています。
さらにティンパニ(オーケストラでよく見かける打楽器です)やハープ、極め付けにシンバルが派手に入ってきます。
このように文面で書きますと、ただ「盛り上がっているなぁ」と思って聴くより差が生まれてくると思います。
全ての楽器がわかればそれだけ情報量は増えますが、まずはピアノなど一つの楽器に絞るだけでも良いので雰囲気の強弱を感じられるようになってみて下さい。
リズムの無い箇所でのリズムの取り方
カラオケで歌う時に困る事の第一位はこれじゃ無いですかね。
急にリズムが無くなってその後声で入らなければいけないけどタイミングが変な感じになる。
皆さん一度は経験あるのでは無いでしょうか。
僕もあります。苦笑。
変な緊張感が走りますよね。
これまた「生バンド」では歌い手の様子を見て「合わせてくれる」こともありますし、アイコンタクトや手振り、ブレスで歌い手からタイミングをアピールすることも出来ます。
でもカラオケはこちらの事など一切お構い無しですよね。
未来のカラオケではAIか何かで歌い手のこちらのタイミングを見計らったりしてくれる様になるのかも知れませんね。
強弱も歌い手に合わせてくれて、ホログラムでバンドやオーケストラも可視化されるなら今回の声模様は無駄になりますね。
さて話を戻して、リズムが無くなる箇所があるカラオケで注意したい事です。
まずトラック4を聴いて下さい。
最初2小節はドラムも鳴っていますが、その後リズムのよりどころを見つけにくいアレンジになっています。
今度は同じカラオケにクリックと言われる拍を取りやすい音を入れたものがトラック5です。
格段にリズムや拍は取りやすくなったと思います。
このクリックを頭の中や体でなるべく正確に取れるかが大切です。
レッスンで見させて頂いていると多くの方はリズムの音が無くなってから頑張って取ろうとしているように思います。
今回の曲でいきますと、初めの2小節、まだドラムが鳴っている時から拍やテンポ感を取っていなくては難しいです。
もちろんもっと前の小節からでもなおさら良いですよ。
簡単なコツではありますが、歌っていると高い声が出るかとか歌詞間違えないかとか色んなことを考えてしまうのでとかく忘れがちです。
「気付いた時にはリズムが無い」なんてことにならない様に準備をしながら歌う癖をつけてみて下さい。
最後に
レッスンの中でよく生徒さんに話すことがあるのですが、
カラオケに打ち込まれている「ガイドメロディ」。
あれが結構良くないガイドになっているのじゃないのかなと思ったりもします。
まだ歌い回しを覚えていない曲を覚えるためには良いのですが、ガイドメロディばかり耳に入ってきて上記のようなカラオケや楽器そのものの情報って聴こえにくいですよね。
そして何よりガイドメロディには強弱やビブラートなどは付けられてないんですよね。
ガイドメロディの無いバージョンのカラオケを使っていただくのもオススメではありますが、ガイドが鳴っていてもその向こうにある楽器それぞれを聴ける様になっていただきたいですし、ガイドに引っ張られることなく自身でイメージした強弱や抑揚を貫ける歌唱力を持っていただける方が素晴らしいと思います。
歌う練習はもちろん大事ですが、カラオケを聴き込んでみる練習時間も是非増やしてみて下さい。
何かしら気付けることは増えると思います。
僕ら講師陣が他にどんなことを聴き取っているのかなどもレッスンで気軽に質問してもらっても大丈夫です。
是非ベリーメリーミュージックスクールのレッスンへお越し下さい!
この記事を書いた人
大学在学中、大阪を中心として音楽活動開始。YAMAHA MUSICQUESTをはじめ、数多くのコンテストに合格。大阪でのインディーズCDリリースやバンド活動を経て2002年ACE OF HEARTS よりソロシンガーソングライターaoiとしてデビュー。