先日、心に深く残る出来事がありました。
昨年の春ごろから通っていただいていた80歳ぐらいのYさんのことです。
病院通いをされていたYさんは、主治医にボイトレでの心肺機能向上を勧められていたことと
ご自宅から一人でスクールに通う定期的な運動を兼ねて精一杯レッスンに励まれていました。
そのYさんが、手術をなさるということで昨年末あたりから休会され、今年の春にまた復帰されたのですが、
また再手術をなさるということと、最近歩いている時フラついてしんどいこともあって
残念ながら退会されることになりました。
そして、先日の5月末に「最後のレッスン」をさせていただきました。
以前からずっと練習を繰り返し、立派に声を張ってリズムも正確に歌えるようになっていた課題曲の中から
Yさんが一番好きな「青い山脈」をはじめ、どうしても私が聞いておきたかったYさんの
「上を向いて歩こう」と「見上げてごらん夜の星を」を一緒にずっと歌い込みました。
詳細は伏せますが、どんな手術をなさるのか聞くと奇しくもそれは私の父の時と同じでした。
「私の父もその手術をしました。でもYさんは当時の親父よりはるかに明敏でお元気なので、まったく大丈夫ですよ!」
「私はYさんにずっと父を見てきましたので、本当に頑張って欲しいです。」とレッスンの最後にお伝えすると、
「身体さえ元気になればまた再開したいです。」
Yさんはいつもの穏やかな笑顔で、噛みしめるようにゆっくり話してくれましたが、
よく見ると、涙を流されていました。
いやもう、たまらん気持ちになって私もこらえ切れませんでした。
もしかすると、もしかすると、もう会えないのかもしれない。
でも、この人のこの柔らかな優しい表情にまた会いたい、と心から思いました。
そんな私の気持ちを、Yさんもふっと察してくれていたのだと感じます。
烏丸通りをゆっくり歩いて帰られる後ろ姿を、しかと見送りました。
そんなこんなでちょっとナーバスになっている京都校のヨシダです。
1 自分なりの細かいピッチの目盛りをメモリーしてゆこう!!
これまで伝えてきたことの中で、プロのシンガーとアマチュアのシンガーの決定的な差は、
『リズム・ピッチ・発声の強さ』であることは間違いないのですが、今回はピッチ(音程)の
チェックポイントを挙げておきます。
たいていの人は、好きな曲のAメロの出だしやサビ全般など、印象深いところはよく覚えていて、
ある程度以上ピッチも安定しています。特にサビの高音を張るところなど、実に気持ち良さそうに
歌えているのですが、逆にいえば、サビの張るところ以外が実に雑で不安定なことが多いです。
フレーズ途中の音程がいい加減であることが多いです。
前にも書きましたが、どんな音階になっているか曖昧でだいたいであることがほとんどです。
いわば、ごまかしているのです。が、プロはその辺りが実に理詰めです。コントロールが絶妙です。
メロディーを単音でギターやピアノでとって、その音程を丁寧に正確に発声し、
カラダに覚え込ませる「細かい目盛りのメモリー」しか道はありません。
このPICは、京都校でエグゼで頑張っているMさんの歌詞ですが、ここまで細かくメモ書きしても足らず
別ノートにまとめを記しているそうです。その細かさの甲斐あって最近メキメキ「ピッチも張りも」よくなっています。
細かく取り組んでそれがマイナスになることはありません。全てプラスです。
そのモチベーションが単発か継続するかでしょうね、あなたも私も。
2 『アタック音・フレーズ終わり・そして助詞』のピッチをまず安定させよう!!
例えば、「麦わらの帽子の君は揺れたマリーゴールドに似てる〜〜🎶」の場合、
歌うときのフレーズ分解は以下です。
ムギ/わーらのー/ボーシのきイーみは/揺れた/マリいー/ゴールドに/にイーてる
この刻みで、フレーズ頭と終わりの音程、そして以外にみんながええ加減な下線の助詞の音程を
ビシッと決められるかが、安定歌唱のキモです。ちなみに、ムギは2音しかないのでどっちの音程も外せないキモです。
こういう細かいことは稀に先天的な才能でできてしまう人もいますが、
決して自分がその稀な天才だと早とちりしないようにしましょう。
自己評価が高すぎるのが現代日本人のデフォなので、逆に
「ボクはそんな才能ないから、きっちりじっくりやろう」と考えられる人の方が
天才である可能性が高いです。
さあ、いずれにしろ努力に勝るものはないので、しっかり大地に足つけて歩みましょう。
この記事を書いた人
ベリーメリーミュージックスクール京都校のチーフです。