いよいよ夏本番を感じる名古屋校から声模様を書かせて頂きます。
講師同士の会話の中で幾度となく耳にするフレーズがあります。
「歌を生徒さんにお教えさせて頂いている中で、自分自身も上手くなっていっている!!」
という台詞。
僕がまだトレーナー経験の浅かった頃から聞いてきた台詞ですが、当初は「そんなもんなんですかぁ~」程度でした。
しかしキャリアを積む度に、色んな場面でなるほどな!と思えています。
僕から生徒さんへ、「声とギターの音量バランスを考えて!」とか、「オリジナル曲やからこそブレス位置まで考え尽くそうぜ!」とか、「弾けてる(歌えてる)つもりで練習せず録音ね~!」とか、何かを話す時、その台詞の後に心の中で「で?自分は出来てるの?」と付きます。心の中に付きっきりの家庭教師か執事が居るかの様です。
自分がデビューをした十数年前、その前からもし先生をやれていたならまた違った音楽活動があったのではないか?と思えるくらいです。
先生じゃなくてもその頃名古屋に、三重県にベリメリがあってくれたなら!とも思います(笑)
そんな想いから名古屋校では少し変わった試みをイベントに取り入れさせて頂いてます。ミックスライブの予行練習、または日頃の成果の発表の場として行なわれています「スタジオライブ」がそうなのですが、自身が歌唱演奏している以外の時間は他の出演者の評価や感想を記す様にしてもらっています。始めた当初は自由な記入としていましたが、最近は悪く感じる部分や改善点を必ず書く様にしてもらっています。
参加者には大好評です!!スタジオライブの行なわれた次のレッスンでそのレポートの発表となりますが、皆さんその評価を楽しみに、ドキドキしながら受講してくれている事が良く伝わってきます。
大勢の方に一斉に自身の歌を評価される事、ましてやそれを聞かされる事なんてそうそう無いですもんね。
僕ら講師とは違って、改善方法は解らないけど…の言いっ放しな意見、ケアの無いチクッと刺さる意見などヒヤヒヤな意見ではあります。
でも実はそれが、皆さんがステージに立った時にお客さんに思われている事に非常に近いのではないかと思います。
皆さんそれが解っているのか、僕らがあれだけ口を酸っぱく言っても直さなかったのに素直に改善に取りかかるじゃね~か!!!って事が良くあります(苦笑)
そして面白いのが、評価される側ではなく、評価する側になったときの文言にそれを記した生徒さんの成長を感じる事が多いんです。
こんな事を考えて聴ける様になったのか=そんな事を気にかけながら自身も歌っているんだろうな
って、思えるんです。
体験レッスンに来て頂いた頃には「大きい声、高い声が出したいんです…」しか言えていなかった皆さんが、です。
つい先日もスタジオライブが行われましたが、その時の皆さんの書いた評価のほんの一例です。
◯口内空間の取り具合いが少ないのか、声の芯がボヤけてピッチが気持ち悪く感じた。
◯勢いに任せた発声になっているので一カ所、一文字が急に大音量になってビックリした。マイクとの距離感で直るかも?
◯2-Aの1行目の歌詞がどういう意味か解りにくかった。
◯目線にもっと歌詞とリンクした動きが欲しかった。
などなど、なんて生徒さん達だ!と驚きつつ、なるほど普段担当の講師によって目線や言い方に、生徒さんへと引き継がれている精神があるなとほくそ笑んでもしまいます。
最後に今年のベリオー楽曲賞受賞の「M」さんが歌う前に皆さんにしたMCです。
「私は左足を踏ん張ってしまう癖があるので、左足の動きが不自然かどうか観て欲しい。曲最後のサビの繰り返しが多くないか、クドくないかを記入して欲しい。」
緊張とだけ戦ってステージを終わらせてしまう生徒さん達が多い中、この日の参加者はみんなが人からの見え方と戦っていたと思います。
見られ方が解っているのは、見方を心得ているからだ。
そう誇らしくなれたスタジオライブでした。
人の歌観て我が歌直せ!
一度皆さんもそのような視点で、他の生徒さんや歌う人を観てみて下さい。
で?自分は出来てるの?のトレーナーが心の中に現れますので。