【ボイトレ講座】口呼吸と鼻呼吸、脱力、息のスピードコントロールを徹底解説

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【ボイトレ講座】口呼吸と鼻呼吸、脱力、息のスピードコントロールを徹底解説-01

ボイストレーニングにおいて、「息の流れ」をマスターすることは非常に重要です。今回の講座では、腹式呼吸を活用し、自然な息の流れを生み出す方法を深掘りしていきます。

多くのボイストレーニングにおいて、良い「息の流れ」を維持することが歌唱力向上に繋がることはよく知られています。息をうまく流すことで、声帯に余計な力がかからず、よりリラックスした状態で音を出せるようになります。逆に、無意識に顔やアゴに力を入れてしまうと、息の流れが滞り、発声がうまくいかなくなります。

声帯は、息が通ることによって初めて音を出します。したがって、今回は以下の3つの重要なポイントに焦点を当て、より効率的でナチュラルな息の流れを生み出す方法について解説します。

✅口呼吸と鼻呼吸の使い分け
✅脱力と呼吸の関係
✅息のスピードコントロールの重要性

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口呼吸と鼻呼吸の使い分け

【ボイトレ講座】口呼吸と鼻呼吸、脱力、息のスピードコントロールを徹底解説-04

息を吸う方法には、「口呼吸」と「鼻呼吸」の2種類があります。それぞれの呼吸法には独自の特徴があり、シチュエーションによって使い分けることが大切です。普段、私たちは無意識に口を閉じて鼻呼吸を行っています。これは、リラックスした状態で行われる腹式呼吸にも適しています。

しかし、歌う時には、特に高音域のサビなどでは、大量の息を事前に吸い込む必要があります。このため、「口」と「鼻」の両方の呼吸軌道を活用することが重要です。

発声において、吸う息を「吸気」、吐く息を「呼気」と呼びます。息を吸う時、下腹部の力を緩めると、自然に息が「ストン」と落ちてきます。この時、口と喉が軽く開いていると、息は自然と口と鼻の両方から吸い込まれます。

私は、個人的には「口:鼻=7:3の割合」で息を吸う感覚がありますが、これは人それぞれです。

また、呼吸法を実験するために「ドッグブレス」というトレーニングを試してみましょう。このトレーニングでは、「鼻だけで」「口だけで」「鼻と口両方で」と3通りの吸気方法を試し、自分の呼吸のバランスをチェックすることができます。

脱力と呼吸の関係

【ボイトレ講座】口呼吸と鼻呼吸、脱力、息のスピードコントロールを徹底解説-02

歌唱時に脱力が重要である理由を理解するために、まずは風船を膨らませる動作を思い出してください。風船を膨らます時、圧力をかけずに息を出し続けることは難しいですよね。その際、少しでも気を抜くと、風船はすぐにしぼんでしまいます。

自分を風船に見立て、息の流れを感じながら脱力を体験してみましょう。息は下腹部から上昇し、喉を通り口に向かって流れます。しかし、口を閉じたままで長時間息を送ると、二酸化炭素が溜まって息苦しくなります。この時、口の横あたりを少し開けて細く長く息を吐き出すことで、自然に呼吸が楽になります。

息を吐ききった後の「脱力」こそが、歌声を美しく作り出すポイントです。お腹から送り出した息が「吸う」というより、「落ちてくる」感覚を身につけることが大切です。この感覚がつかめると、歌唱中もスムーズに息を流すことができ、体の力を抜いた状態で歌うことができます。

息のスピードコントロールの重要性

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声を大きく、遠くまで届かせたい時、私たちは自然と「大きな声」を出します。逆に、隣にいる人には「小声」で話しますよね。この「声のスピード」のコントロールが、歌唱において非常に重要です。

発声時、特に高音を出す際、声帯はゴムのように引っ張られ、細く伸びます。この状態では、息のスピードが速く、声帯を振動させるためにはかなりの勢いの息が必要です。逆に低音を出す際は、声帯が広がり、息のスピードは遅くなります。

歌の中で「Aメロ」「Bメロ」「サビ」など、歌う距離や音の高さによって、息のスピードや声の大きさは変わります。小さなライブハウスと東京ドームでは、リスナーとの距離感が全く違うため、息のスピードを上手くコントロールすることが求められます。

これを習得することで、歌唱時に「押し引き」が絶妙にコントロールできるようになり、リスナーに合わせた表現が可能になります。息を「シー」と漏らしながら、その強さを段階的に調整する練習をしてみましょう。まずは3段階、次に5段階、そして最終的には10段階に分けて息のスピードをコントロールできるようになると、歌声に深みが増します。

また、息のスピードコントロールができるようになると、歌唱に欠かせない「ビブラート」も自然に身に付けられるようになります。ビブラートについては次回、さらに詳しく解説していきますので、ぜひ楽しみにしてください。

まとめ

今回の講座では、呼吸の仕方から息の流れ、コントロールまで幅広く解説しました。呼吸法や脱力、息のスピードコントロールは、歌唱力を大きく向上させる鍵です。これらのテクニックを理解し、実践することで、よりスムーズで力強い声を出せるようになります。

文章で全てを伝えるのは限界がありますが、少しでも皆さんのレッスンや練習の参考になれば嬉しいです。次回のレッスンもお楽しみに!