レコーディングレッスンには通常のレッスンでは得ることが難しい「確認」や「感覚」が多く詰まっています。リアルタイムの歌唱だけでは気付かなかったミスや弱点、「新たな技術」や「新たな観点」にも出会えるはずです。ベリメリ検定を機に本格的にレコーディングを練習の中心に据えてみてはいかがでしょうか。
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はじめに
もうすっかり春ですね!
ベリーメリーミュージックスクール名古屋校の目の前に広がる久屋大通公園には賑やかな商業施設の他に芝生スペースもかなり広大な規模でありまして、家族カップル友達同志いろんな方達が陽の光を浴びてくつろいでらっしゃります。
名古屋校の生徒さんにもボーカルレッスンの後立ち寄ってみることをいつもお勧めしています!
そんな心地の良い春!!春といえばベリーメリーミュージックスクールでは検定の時期です。
半年に1度の腕試しのレコーディングテストが検定です。
生徒の皆さんには1曲を2テイク録音して頂き自信のある方を提出頂きます。
僕を含めチーフ陣がボーカル技術において細分化された各項目を採点させて戴き、半年の成長、今後の指針を示させて頂く重要な機会となっております。
闇雲に「上手くなる!」と思うより「半年後までにこの項目をアップさせる、克服する!」という姿勢でレッスンされている方は成長に確実性がありますので
是非皆さんただ受けるだけではなくテーマを持って有意義なものにして頂きたいです。
さて、その検定で一番の軸になるのが「レコーディング」です。
ベリーメリーミュージックスクールの生徒の皆さんでも検定でのみでしかレコーディングを経験しない…という人が多いのではないでしょうか?
それでも全くレコーディングなんかしたことも近寄ったことも無いという方から比べると随分経験値として違うでしょうし、何より自身の歌に対する情報量が違うと思います。
それだけでも歌の上達として大きな「差」になるレコーディング。
プロ歌手は大事なレコーディングからdemo録音のようなライトなレコーディングまで年間に数え切れないくらい行う訳で、そりゃそりゃ進化の速度と進化の機会の多さが違うことはわかっていただける事かと思います。
何度も検定を受けて頂いている生徒さんでも半年に一回の数分の経験ではレコーディングの雰囲気に毎度慣れるくらいで、レッスンとしてのレコーディングの利点を知るまでに至らない人も多いかと思います。
今回はそのレコーディングの利点についてザックリと大きな括りではありますが3つ知って頂ければと。
そしてレコーディングレッスンを取り入れてみようかと思って頂けるキッカケになればと思います。
「客観的に」弱点を知れる
レコーディングを技術上達の為に使う!という観点においては一番に誰もが思い付く利点ではないでしょうか。
弱点やミスを確認する、です。
「何もレコーディングまでしなくても歌いながら自分のミスくらいわかってるよ!!」
そんな声も聞こえてきそうですが…
大事なのは歌いながらではミスと感じられていないミスを聞き取れるということです。
例えば音程面ですと「ラ」が正しい音程なのに勢い余って「ラ#」を歌ってしまったらこれは歌いながらでも皆さん気付きます。
でも、「ラ」の周波数440Hzよりも10Hz高いとか低いとかはメロディの流れの中では疎かにされがちです。
つまりピッチとしての確認まではリアルタイムではなかなか慣れのいる話ですし、そもそもレコーディングでピッチに着目する癖が付いていないと発想として浮かばない知識だと思います。
ピッチという細かな話だけではありません。
例えば歌の1フレーズに5つの音符があるとして先頭と最後の音はわりかし皆さんしっかりと音程を狙ってくださるのですが、間の2、3、4音の経過音についてはあやふやな感覚や流れで歌い外れている事が多々あります。
レコーディングでは集中的にその箇所を何度も再生し確認も出来ますし、何ならスローにしてハッキリと確認することも出来ます。
スローで再生すると何故か皆さん同じくスローで歌って確認練習して下さいます!笑
その姿が微笑ましく先生からすると可愛くてしょうがないものなのですが、でもすごく良い練習だと思います。
正確さを先に手に入れて速度アップをしていく練習癖が付くようになります。
リズムはもっと如実かもしれません。
サビの熱さ、思いの熱さで走ってしまう事はよくあります。
リアルタイムでは「ん?」とは思えても熱さの方が大事に思えてしまうものです。
恋愛でもありませんかね…こんなに愛しているから相手にも解ってもらえるはずだと。
時間が経って思い返すとイタイ自分だったなぁ〜なんて事。笑笑
本人は熱いつもりでも聴き手にはリズムのズレでしか無いかもしれないですね。
その客観視もレコーディングでこそ出来ることだと思います。
記録されるのは「声」だけではない
皆さんの歌声はパソコン等に記録されます。
同時に全てでは無いかもしれませんが「フォーム」や「力み」、「何にトライしたか」、「何を試したか」などは皆さんの記憶に記録される事と思います。
例えば僕自身の過去の例で言いますと、手の握力が高音域の響きに影響している事を発見した事がありました。
勿論レコーディングの機会にです。
プロの現場でまだレコーディングを行い始めた頃に、ライブで出せている感覚と同じようにレコーディングでは声を出せない不思議に悩まされました。
色々考えた結果ライブ中はギターを握っているその握力が発声に安定を生んでくれていて、何も持たずに入るレコーディングブースではその差が大きかったという事を知りました。
その後はレコーディング中は何かを握る様にしていますし、ライブ中もギターでなくマイクを手に持つ時にも握力の抜き差しはかなり大事に意識しています。
他にも自宅で歌っていた時の調子の良さをレコーディングでは出せないなんて悩みもあリました。
これも自分なりの理由がありました。
自宅では障害物を気にせず遠くの壁に声をぶつける感覚だったものが、コンデンサーマイクを目の前にするとそのマイクまでの距離の窮屈な発声になっていたと言うのが原因です。
10センチ前に届ける発声と5メートル向こう…そりゃ全然違いますよね。
表現まで大きく変わってしまいます。
どのくらい先をイメージするとどんな声になると意識し始めたのもこの件からです。
そんな風にこのダメな歌唱になった時力みまくっていたなとか、逆にこの良いテイクの時にそういやこうだったなとか声以外の大切な事を知れるのが凄く大きな利点だと思います。
そもそもですが、1発で1曲フルコーラスで丸々録音する事ってほとんどありません。
検定はテストですので1発録音ですが、レコーディングレッスンなどでは稀です。
ワンフレーズや一言分だけ録って聴くって事が多いですので上記のような記録と記憶が薄れずにすぐ確認が出来ます。
「ひょっとしてこうかも?」をすぐに試して答え合わせが出来るのが練習としてかなりの威力を発揮してくれると思います。
「まぐれ」「偶然」に出会ってほしい
これが今回レコーディングレッスンをお勧めする一番の利点かも知れません。
このフレーズをこう歌おう、ああ歌おうは少なからず皆さん持ってらっしゃるとは思います。
そう考えて歌うことはとても大事な事です。
でも逆に言いますと、ご自身が持っている引き出しでしか構築出来ないフレージングになってしまうとも考えられます。
これはリアルタイムで歌っていてもある事かもですが、たまたま掛かったビブラートがやたらそのフレーズをカッコ良く仕上げたり、疲れでフレーズ終わりにフォールを描けてしまったがそれがシブかったり。
声が掠れたけど歌詞的に表現がマッチしたり、力を加えられなかった高音がやたら素直で突き抜けているように感じたり….。
これリアルタイムでは気付くことが出来ても、歌い終わったら忘れてしまってるんですよね〜。
先生に「あそこ良かったよ〜!」なんて言われても、嬉しいだけで次もできる自信は無いですよね。
レコーディングでは勿論残りますし何度も確認が出来ます。
しかもご自身から出たものです!
だから必ず真似出来るんです!!自分を手本にしながら。
フォームや力加減や喉のコツ、何よりもここでこれを使うと良いテイクになると知っている知識は大きな財産になります。
これはプロの世界でも毎日起きていることだと思います。
考えていたものとは違ったけど偶然の方を採用した、でそれが聴き手に最もウケるものになったなんてことは事は一杯あると思います。
自分が思う自分の良さ、を超えた自分の良さに出会えて技術と自信を手に入れられるのもレコーディングならではだと思います。
最後に
ベリーメリーミュージックスクールではベリメリ検定が行われる時期ですのでレコーディングについて書かせていただきましたが、
レコーディングが皆さんに凄い成長をもたらしてくれるだろうという思いは時期に関係ないです。
今日にでも早く始められると変わりますよ!!
僕自身のボーカル人生を振り返ってみますと、ボーカルスクールやボイトレなどはない地方で育ってきましたので一切受けられなかったです。
でも自宅での趣味のレベルのようなものから含めますとどれだけの時間を費やしたかわかりません。
自分が先生になって自分を育てた、自分が手本になって新たな技術を求めたってのが大きかったのではないかと思います。
1曲を闇雲に練習するのではなく、つぎはぎのレコーディングで良いのでお気に入りのフレージングが詰まった「自身最高の1曲」を録音してみて下さい!!
何を考えて歌唱するかや狙った声を出す体のコツなどレコーディング前と変わったことを必ず感じていただけると思います。
とりあえずベリーメリーミュージックスクールの生徒の皆さんは5月検定で上記のことを感じながら挑戦していただき、今後の練習の変革になる機会になってもらえればなと思います!
この記事を書いた人
大学在学中、大阪を中心として音楽活動開始。YAMAHA MUSICQUESTをはじめ、数多くのコンテストに合格。大阪でのインディーズCDリリースやバンド活動を経て2002年ACE OF HEARTS よりソロシンガーソングライターaoiとしてデビュー。