今回は「どうしても高い声が出ない」「高音が苦手」「高い音で声がかすれる」など、「高い声」に関する悩みをを持ちの方(男女)に参考になるヒントやトレーニング方法などを書きたいと思います。
最近の歌の傾向
「高い声」を出したいと思っている方は多いと思います。
それは、世の中でも平均的に高い声を出すアーティストが増えてきているからかもしれません。
最近では「息を混ぜたような軽い声」で高い音を出す、もしくは、裏声にカテゴライズされるヘッドボイスの様な「ピンと張った声」で高い音を出すようなアーティストさんがどんどん出てきています。
昔ですと、レジェンド枠の「クリスタルキング」の田中昌之さんや「B’z(ビーズ)」の稲葉浩志さん、女性だと「大黒摩季」さんや「Superfly(スーパーフライ)」の越智志帆さんなど、高い声を出す方がいらっしゃいます。
最近だと、「King Gnu(キングヌー)」さん、「Official髭男dism(オフィシャルヒゲダンディズム)」さん、「Mrs.GREEN APPLE(ミセスグリーンアップル)」さんなど、皆さんそれぞれに「高い声」と言っても様々な「高い声」があります。
高い声の種類
高い声には地声の他に「ファルセット」や「ヘッドボイス」などがあります。
ファルセットの中でも「強いファルセット」のような声を「ヘッドボイス」と言っています。
他には、よく皆さんが耳にする「ミックスボイス」や「ベルティング」という歌唱法、「シャウト」など沢山の種類の高い声の出し方があります。
アーティストの皆さんは、その中で得意とする歌い方をメインに個性として使っているのですが、もちろん1種類だけでなく色んな種類の声を使われる方が多いです。いわゆる表現力の引き出しが多いとうことになります。
例えば「ファルセット」でしたら、「Da-iCE(ダイス)」さんの「CITRUS/シトラス」という楽曲は「ヘッドボイス」と言って「声帯を締めて短くして鼻に当てた強めのファルセット」にしています。↓↓↓
例えば、「久保田利伸」さんも高い声のかたですが↓↓↓
あの高い部分は地声のように聞こえて実はお願いがあるのですが「強めのミックスボイス」だと思います。
「声帯」を少し離して楽に高い声を出す、いわゆる「ミックスボイス」です。
声帯のコンディション
「喉仏」の中に、大体1cm前後ぐらいの「声帯」があります。
「輪ゴム」で考えるとわかりやすいですのですが、輪ゴムを引っ張ったり緩めたりしながら振動させると「高い音」から「低い音」へと可変できます。
声帯も同じ様に、引っ張って 息を当てると高い音の振動になり、 緩めて息を当てると低い声の振動になります。
声帯の「長さ」は、身体の小さい方はちょっと短かく、体が大きいと長い場合が多いです。
おそらく、身体が小さい方の方が高い声を出しているイメージがあると思います。
例えば「バイオリン」と「コントラバス」でもわかると思います。
バイオリンなど小さい楽器は弦も短く、高い音を出すのが得意です。
逆にコントラバスなど大きい楽器は弦も長いので 低い音を出すのが得意です。
ただ、身体が大きいからといって高い声が出せないというわけではありません。
この声帯の長さを自分でコントロールして短いポジションにして歌うことによって、高い声も実現することができます。
「声帯を短くする」というものですが、「声帯を閉じる」という言い方の方がわかりやすいと思います。
例えば、 1cmのうちの5mmぐらいを閉じて振動しないようにして、残りの部分から息を流しつつ、振動させて使うみたいなイメージです。
高音につながるヒント
ヒント①:のどちんこ(口蓋垂)
声帯の上の方に「のどちん(口蓋垂/こうがいすい)」があります。
高い声を出す時には、のどちんこを上にキューっと上げ声帯を薄く引き伸ばす様に引っ張れるようにトレーニングしていく必要があります。
高い声を出している時は、のどちんこが上に引っ張り上げられて、のどちんこが視覚的に見えなくなります。
鏡を見ながら高い声出してみるとわかると思います。
ヒント②:軌道の確保
高い声を出す際に「息」が綺麗に流れてくれるように「気道」をしっかり確保しなければなりません。
「気道を確保する」というのは「喉を開く」という表現になります。
例えば、人が驚いた時には「へっ!」と息を吸い、同時に喉が開きます。
この時は息が凄くスムーズに息が流れています。
また、高い声を出す時には「スピードのある息」が必要になります。
ピンと張った声帯を振動させるには適切なスピートの早い息が必要です。
その際に、上手く逃がしてあげないと苦しくなってしまいます。
なので、息をちゃんと外に放出するためにも息の気道を広くしてあげる必要があります。
また「喉仏」をお仕上げて口腔内の喉仏側を広くするイメージを意識しながらファルセットで高い声を出していくと「高い声」というものがどんな感じなのか段々と体感できる様になってきます 。
ファルセットのトレーニングしかしないボイストレーナーも居るくらいファルセットトレーニングは重要です。
ヒント③:鼻腔共鳴
そして「鼻腔共鳴」ですが、高い声を出す時には、やはり「響きの位置(聴覚上聞こえてくる位置)」が高い方がいいです。
「高い響き」を実現 するためには「鼻腔共鳴(びくうきょうめい)」というものが役立ってくれます。
音(振動)は「力」を入れたところに集まる習性があります。
例えば「喉」に力を入れると「喉声(のどごえ)」になり、響きが低くなり高い声が出しにくくなってしまいます。
「鼻腔共鳴」を使って高い周波数の響きを混ぜることで「響きを上げる」と高い声が出しやすくなってきます。
「表情筋」を上げたり、少しウイスパー気味に息を開放すると鼻腔共鳴しやすくなります。
また、声を鼻にまとめるイメージで歌うと響きやすいです。
この「高い響き」に慣れていくことで、段々と高い声が出しやすくなっていきます。
ヒント④:ハミング
YouTubeなどでシンガーの皆さんが歌っているのを見ると、高い声の時にだけ口を大きく「縦」に開いているのがわかります。
AメロBメロを歌っている時は、口をほとんど開いてないのですが、高い声のタイミングで、顕著に口を開いているのがわかります。
この「口を開く」という動作を覚えるために「口を開けたままハミングをする」というトレーニングなどを多く取り入れています。
「ハミング」というのは、基本的には口を閉じた状態が主流なのですが、これを口を開けたままでも実現することができます。
口を開いたハミングは、舌根とのどちんこをくっつけて口から息が漏れないようにして歌う歌唱法です。
鼻の奥に声の「芯」を作ることをイメージして、高い声ほど口を「縦」に開くトレーニングをすると高い声が出しやすくなります。
ヒント⑤:下あごの力み
高い声の邪魔になるのが「下顎の力み(りきみ)」です。
顎が力んでしまうと、どうしても響きが顎の方に寄ってしまうので高い声を出すのが難しくなります。
声帯も閉まり気味になります。
それを回避するトレーニングとして「犬の遠吠え」を真似したりしています。
「息が来たら口を開けても良い」「 息が来てない時は口を閉じる」というコンビネーションが身につきます。
「高い声を出す時に顎が下に下がる」→「顎が下がったときに響きが上がる」みたいなイメージだと分かりやすいかもしれません。
ヒント⑥:脱力
やはり「脱力」は顎だけではなく、色々なところに必要になります。
「舌」であったり「唇」であったり、この辺りも力んでしまうと高い声の邪魔になってしまいます。
なので「タントリル」や「リップトリル」など、基本的なトレーニングもしっかりやっていくことで高い声を出しやすい「息の流れ」を作ることができると思います。
ヒント⑦:表情筋
そして、やはり「表情筋」も大事です。
「高い声を出す際に口を開いた時だけ歯が見える」というのを推奨しています。
口の開け方は、犬が怒った時の牙をむくイメージがわかりやすいと思います。
表情筋を上げようとするとどうしても口角が横に広がってしまうと思います。
「口を縦に開いた時だけ歯を見せる」ように意識すると口角は横に広がらないようになると思いまます。
この「縦」に広げた口の形が高い声を出す時に助けになってくれます。
高音の為の秘策
声帯の左右は、長く引き伸ばすように引っ張れば引っ張るほどくっついてしまうで、反対側に引っ張る筋肉も必要になります。
声帯を広げて息をちゃんと通してあげないと、高い方に行けば行くほど息が流れなくなり喉がしまって苦しくなります。
そこで、声帯を横に引っ張る「イメージ」を付けるトレーニングです。
胸筋を上に持ち上げるイメージで首は太くなる方向に力を入れると、首の横に筋が立ってエリマキトカゲみたいになります。
この筋で、後頭部やほっぺた(表情筋)からグッと引っ張り上げて筋と繋がっている胸筋を持ち上げるようなイメージです。
このトレーニングがそのまま役に立つかというと「そうでもない」のですが、できるようにしておくと「口を縦に開けた時に胸がせり上がり、胸を押すプルボイスを防げる」ようになると思います。
かつ、声帯を後ろに引っ張り上げる力が身に付いたり、「声帯を引っ張った際にくっつきがちになる声帯」を横に開いて息を通すこともできるようになるというメリットもあります。
最後に
歌うということは、オーケストラを一人でやっている様なものです。
お腹が「演奏者」、演奏者が良い息を作り、自分だけの「楽器(声帯など振動部)」に息を当てる。
そうすると鳴るのが「声」です。
あとは、指揮者としての能力はご自身で色んな良い音楽を聴いているので育っていると思います。
「歌いたい」と思った時に、演奏者が良い息を作り、「高い声」が出るようなポジションを整えて、そこに良い息を当てていく、このイメージで挑んで頂けたら嬉しいです。
最近は「高い声」が必須になってくる楽曲が増えてきていると思います。
参考にしていただいて、是非とも苦しくなく 高い声が出せる様になることを願っています。
以上です。