歌うことは、ただ音程を取るだけではなく、自分の感情やイメージを音に乗せて表現するアートです。その中でも「ビブラート」は多くの人が憧れる技術であり、歌に深みや感情を与える重要な要素です。一方で、「表情筋」の使い方もまた、歌の表現力を高めるために欠かせないポイントとして注目されています。
この記事では、自然なビブラートの習得方法から、表情筋を活用して歌声に個性を持たせる秘訣まで、実践的なアプローチを詳しく解説します。さらに、自由な発想をもとに自分だけの歌声を作り上げるヒントも盛り込みました。初心者から経験者まで楽しめる内容ですので、ぜひご一読ください。あなたの歌声が、これまで以上に魅力的に響くきっかけになるかもしれません。
ビブラートの出し方と効果
歌唱において「ビブラート」は憧れです。
当スクールの体験レッスン内でも「ビブラートが上手く出来ない」という方を非常に多く見受けられます。
声を揺らすビブラートには「かく揺れるもの」や「大きく波打つように揺れるもの」まで「揺れ」に大小の幅があります。
例えば、宇多田ヒカルさんはビブラートは振幅は細かく「切なさ」が表現されています。
基本的に、ビブラートは「腹圧のコントロール」で調整します。
ロングトーンしながら鳩尾(みぞおち)をゆっくり押すと、腹圧に強弱が生まれて声に適度な揺れが生じます。
これがビブラートです。
手で鳩尾を押さなくても、お腹に力を入れたり、少し力を抜いたりする事で腹圧に強弱が生まれビブラートがかけられる様になります。
鳩尾を押す間隔を調整することで、様々な揺れの揺れ幅を体験できるはずでず。
そして、その際に大切なことは「喉元(声帯周り)がリラックスしていること」です。
腹圧で生まれた強弱が喉元に伝わって同じ波(揺れ)を生むためにも「声帯の力み」は妨げとなります。
「ロングトーンしながら少し喉を開くイメージ」で腹圧をコントロールする事をオススメします。
また、ビブラートは使いすぎない事も大切です。
「真っ直ぐに伸びた声があるからこそ生きる表現」もあると考えてください。
歌詞やメロディーから生まれる悲しみや切なさなど、表現したい明確なものがある場合にとても効果的なものです。
「息混じりの地声」のビブラートは、特に切なさが増します。
そして何より「ビブラートが使える≒歌が上手い」に結びつけるリスナーは多いと思います。
ただやはり、真っ直ぐに伸びる声にも切なさがある事も忘れずに歌えると良いですね。
「響き」と「息」で自由な声
歌は以下の3つの役割で完成します。
- 息を生み出す支え(演奏者)
- 息を受け止める声帯のポジション(楽曲)
- 歌いたいイメージを引率するイマジネーション(指揮者)
皆さんは生きてきた時間で耳にした沢山の音を持っています↓↓↓
- 母親の子守唄(話し声)
- 子供の頃に歌った童謡
- 町中で響くヒット曲
- テレビ番組で応援する推しの歌声
- ピアノやギターなどの楽曲の音
・・・等々思い起こすときりがない程の音に囲まれて生きて来ました。
そんな中には・・・
- 力強い響き
- 楽しい響き
- 悲しい響き
- 切ない響き
- 怖い響き
沢山の「響き」があったはずです。
その「響き」は、その時々の自分の気持ちとオーバーラップして寄り添ってくれたのでは?
例えば大好きな歌って、そんな中で出会った大切な音なんだと思います。
この時点で既に好きな音、大切な音など自分の中にイメージが豊かに育っています。
実際に自分が歌うときは、この「イメージ」が脳内をめぐり「出したい音」を生み出します。
先行したイメージは自然と身体を動かします。
「息」が生まれ「声」になります。
ボイトレは、その「息」を自由に流す事や声帯を必要な形(ポジション)に変化させて「出したい音」を演出する力を培ってくれます。
- アタックの強い息
- エッジボイスの様にジワっと生まれる息
- ビブラートの様な揺れる息
- 徐々に消えていく声を演出する息
様々な「息」を使い分ける、その息を「声帯(楽器)」に届けます。
そして、水道のホースの先をつまんだり緩めたりする様なイメージで、様々な幅や方向を定めて声を流していきます。
「自由な発想」で生まれた「自由な声」は自分だけの歌になります。
「表情筋」で表現して歌う
「表情筋」は「頬(ほっぺ)」だけではありません。
「眉」「こめかみ」「口元」など、顔で表情を作っている全ての筋肉です。
そして、様々な表現の助けになってくれるのが「表情筋」です。
笑顔で話すと明るい声になり、暗くつらそうな表情で話す声には覇気のない暗い響きがつきまといますよね。
前述の水道のホース的な「声の出口」としての色付けとして「表情筋」はとても影響力があります。
声優さんや俳優さんは、レッスンの中で「喜怒哀楽」を表現するトレーニングをしています。
歌は「話すように歌う」「話しかけるように歌う」事で説得力を増しますので、同じ様なトレーニングもかなり有効です。
メロディーや歌詞をしっかり理解して、表情筋を使って様々な表現で歌ってみて欲しいです。
大げさなくらいやってみると「程よいバランス」も分かってくると思います。
犬や猫にも表情や鳴きなど、それぞれに個性的な表現をする動物も居ます。
言語を持っている人間は無限の可能性を秘めている表現者だと感じます。
是非自分の可能性を探ってみてください。